第15章 〜結実〜
参列した大名や家臣達に
祝福され、滞りなく祝言を終えた
二組の夫婦。
そして、迎えた初夜。
信長と栞は、天守閣で仲睦まじく
寄り添い、酒を酌み交わしていた。
『なんか、信じられないなー』と栞。
『何がじゃ』
『まさか、自分が信長様の妻になるなんて
ですよ。未だに信じられない。ほんの
半年前はこんな自分になってるなんて
想像もしてなかった』
『後悔しておるのか?』
『まさか!こんなに幸せで、いつ死んでも
後悔なんてないくらいですよ』と微笑む栞。
『そうか、だが死ぬのは許さぬがな』
と信長も栞に穏やかなら笑みを向ける。
『えへへ、勿体なくて、死にたくなんて
ないですよー。それくらい幸せってことです』
『しかし、まぁ、この二ヶ月 家康の
言っていた意味がようやく分かったわい』
とニヤリとする信長。
『えっ?』とキョトンとする栞。
『貴様と桜奈の仲睦まじさのことじゃ』
『ああ、桜奈さんは、私にとって
かけがえのない姉妹のような存在だから。
桜奈さんがいなければ、私は
今こうして信長様の隣になんて
いられなかったと思うし。桜奈さんは
私と信長様の恋のキューピッドだからね』
『きゅーぴっど?』
『ああ。この時代だと縁結びの
神様みたいなものかな』
『桜奈が、縁結びの神か。
そうか、わしがあの時、助けたのは
縁結びの神であったか』とフッと笑った。
『そうですよ。桜奈さんの口癖知ってます?』
『何じゃ?』
『二言目には、信長様の為にっていっつも
言ってるんだよ。共に信長様を支えて
いきましょうって言うから、いやいや
桜奈さんは家康を支えなきゃ
でしょって言ったの。
そしたら家康を支えることが信長様を
支えて行くことだからって。
結局、信長様の為にってなるのよね』
『フッ、そうか』
『だから私も桜奈さんに負けないくらい
信長様の為にーって頑張るからね』と
力を込める栞。
『いや、貴様はそのままで良い。
ずっと側におれ、それがわしの支えじゃ』
『ふふ、じゃ、もし私が未来に返されたら
どうします?』
『わしが、必ず奪いに行くまでよ』
そう言って、栞に口付けする信長。
『んっ・・』と栞から、吐息が漏れる。
この後二人は、激しく甘く溶け合う
初夜を過ごした。