第15章 〜結実〜
朝餉を終え、身支度を整えると
早速、信長の元へお伺いを立てに
向かった二人。
『信長様、家康にございます。
少し、ご相談がございます。
お時間を頂きたいのですが』言うと
『入るがよい』と声がした。
『失礼します』と言って二人で
中に入ると
『桜奈さん、家康、おはよう』と
栞も信長の隣にいた。
『おはよう』と家康。
『栞さん、おはようございます。』と桜奈。
『で、祝言はいつにするのだ?』と信長。
(何なのこの人)とお見通しされてることに
もはや、慣れさえ感じる家康。
『えっ、祝言?いつ、いつ?』と
身を乗り出す栞。
『その、いつにするかを相談にきたの』と
鬱陶しそうに家康は、栞に言った。
『別に、わしに相談せずとも準備が整い
次第、挙げればよいではないか?既に桜奈は
貴様に預けると言ったはずだが?』と信長。
『ありがとうございます。では
そうさせて頂きます』と家康
『良かったね!桜奈さん
おめでとう!』と言う栞。
『ありがとうございます。栞さん。
時に、信長様、栞さんとの祝言は
いつ頃のご予定ですか?』
『わしらの祝言なぁ・・・』と少し考えると
何か思いついたように、企んだ顔になる。
『貴様等と、一緒の日にするか?
どうじゃ?栞』と聞いた。
栞は、自分の祝言はまだまだ先と
思っていたので『ほんとに!いいんですか?
信長様!凄く嬉しい!!』と満面の笑みを
信長に向けると、信長は、緩む顔を
隠すように口元に手を当てた。
(あっ、照れてる)と思う家康と桜奈。
『信長様、本当にいいんですか?』と
呆れる家康。
『何?不服か?』と言い終わるや否や
『ねぇ、桜奈さん、せっかくだから
お互いの白無垢を仕立てましょうよ!
私が桜奈さんのを、桜奈さんが
私のを仕立てて贈り合いましょう。
一生の記念になるよ』
『ああ、それは素敵!でも私は栞さんに
お仕立て頂いて嬉しいですけど、私が
お仕立てしたものでは、栞さんに申し訳ない
ないですわ』
『そんなことないよ、大好きな桜奈さん
に贈ってもらうんだよ、一生の宝物にする』
と二人でキャッキャと盛り上がり始めた。
『ね、信長様、こうなるんですよ』
『わしとしたことが、不覚をとったか』と
頭を抱える信長。