第14章 〜運命の赤い糸〜
佐助は、続けた。
『もし、そうならば、お二人は
出会うべくして出会ったことになる
まるで、そうなる事が初めから
決まっていたように』
ピカッ・・・・ゴロゴロ・・・
雷鳴がし始めた。
ポツ・・・ポツポツ・・雨がふりだした。
『栞さんが、この時代に残る
覚悟を持っているなら、もしかしたら
栞さんが望んだ通りになるかも
知れません。』
『何!?栞どう言うことだ?』と信長。
『本当は私は、ずっと信長様と生きて
いきたいと強く想ってます。けれど両親にも
私の無事を知らせたい。私はこの
時代で生きて行くと知らせたい。
でも、通路に飲み込まれれば
強制的に現代に返されちゃう 。
だから賭けることにしたんです。
私の信長様への想いがどれ程か
自分に証明する為に。
賭けに勝てば、私は死にものぐるいで
信長様を支えて行けると胸を張って
言えると思って。』
『そう言うことであったか。
貴様もなかなかの無茶をする。
ならばわしも共にここにいる
貴様を未来へなど返さぬ為にな。
ここに、秀吉がおらんでよかったな。
あやつがいると大慌てで止めに入り
煩くてかなわぬ』
『でも、もし巻き込まれでもしたら』と
心配する栞。
『ふっ、その時は、その時よ。
未来の世を見れるなど
あり得ぬ幸運ではないか。
まぁ、わしには為すべき事が
あるゆえ、そのつもりはないがの。
だが、光秀、もし何かあれば
後の始末は、貴様に任せる
よいな。』
『はっ』と光秀。
雷雲はあっと言う間に
皆の頭上まで広がり
ザッーと地面を叩きつけるような雨が
一気に降り出した。
ピカッ!ゴロゴロゴロ・・・
雷鳴もどんどん近付いてきている。
『栞さん、信長様、そろそろです
宜しいですか?』
『構わぬ』と言うと信長は
栞を後ろから抱きすくめた。
『信長様・・』そう言うと、栞は
嬉しくて涙が出た。
『皆さん、一旦、ここから距離を
とって下さい。巻き込まれて
しまうかも知れないので』と佐助は
皆をある程度まで遠ざけた。
不安そうに遠目で二人を見守る桜奈
それを支えるように肩を抱き寄せる家康。
ピカッ!
次の瞬間、眩しい閃光が辺りを包んだ。
栞には、抱きしめられてる
安堵感からか目を開けられた。
スローモーションのように
空が歪み、そこが裂け穴のように
広がってワームホールが開いて行く。