第14章 〜運命の赤い糸〜
佐助の事が気になり途中で引き返した
幸村がこれからワームホールが
開くと言う部分だけ聞こえた。
『おい!佐助。今の話本当か?
これから、そのわーむなんとかが
開くのか?』と聞いてきた。
『幸、引き返してきたのか。
そうだ、これから一刻もしない
うちに開くよ。』
『それで、お前どうすんだ?帰るのか?』
『いや、幸。僕は、残る事にしたよ』
『ほんとか?』と安堵したような顔を浮かべた。
一方、栞は、各武将に
別れの挨拶をして回った。
それぞれに『お世話になりました』と
挨拶すると
光秀は『揶揄う奴が居なくなり
つまらなくなるな』と寂しそうに
フッと笑いながら言った。
政宗は『お前と菓子つくるのは
楽しかったよ。元の世に戻ったら
俺の分も上手いもの食って元気に
暮らせよ!』と言ってくれた。
三成は『栞様が帰られるのは
寂しいですが、いつでも栞様の
お幸せを願っています』と
天使の微笑みを栞に向けた。
そして、桜奈と家康の
ところにきた。
『桜奈さん、家康
後一刻もしないで通路が開く
んだって。だからお別れを言いにきた』
『そんなに早く?』と桜奈は驚いた。
『栞さん』と言うと、栞を抱きしめ
涙を流した。
『桜奈さん』と栞も泣きながら
抱きしめ返す。
ひとしきり抱き合った二人。
『栞さん、お元気で。
私は、栞さんに出会えたことは
一生の宝だと思っています。
栞さんのお陰で、私は私を取り戻せた
栞さんは、信長様と同じくらいの
私の大恩人ですからね。
ずっとこちらの世で栞さんの幸せを
願ってます。』
『ありがとう桜奈さん、それと
大恩人は、私の台詞だよ。桜奈さんに
出会ってなければ、この時代で
こんなにも幸せな時間は過ごせ
なかった。幸せ過ぎて帰りたく
ないくらいの時間を桜奈さんが
くれたんだよ。本当にありがとう。
家康と必ず幸せになってね。』
『家康、言われるまでもないだろうけど
絶対、桜奈さんを幸せにしてよ』
『あぁ、言われるまでもないけどね
約束するよ。栞も元の世で能天気に
ヘラヘラして暮らしなよ。栞の住む世は
それができる世なんでしょ?』
『えへへ、そう。こんな能天気が
出来上がるくらい平和な世だよ。
二人がこの先作って行ってくれる
世だよ。』
『えっ?』と二人。