第14章 〜運命の赤い糸〜
翌日の昼過ぎ
各軍の武将が勢ぞろいした。
政宗と光秀も一旦戻り
この軍議に参加していた。
そこに桜奈の姿もあった。
謙信は、桜奈の姿をみつけると
吸い寄せられるように近づいてきた。
『桜奈』と近づいてくる謙信に
桜奈を後ろに隠すように
殺気立った凄みのある表情で
謙信を睨む家康。
『じゃまだ、そこを退け
さもないと切る』と柄に手を
かける謙信。
それに応えるように
『この前、トドメをさすべきだったね』
と同じく柄に手をかける家康。
慌てる桜奈は、
『おやめ下さい二人とも!!
この場に、なんのために
お集まりになったのですか!!』
とピシャリと言い放つ。
信長は、『そのへんにしておかないと
貴様ら、世にも恐ろしいものを
目にすることになるぞ!!』とニヤリとする。
同じく顔を隠すようにほくそ笑む光秀。
信玄と幸村は桜奈の意外な一面に
驚く。(あんな顔もするのか・・・)
三成は、斬り合いになるまでを
想定し、桜奈の隣に
寄り添っていた。
桜奈に怒鳴られ
政宗『やめとけ家康』
佐助『謙信様、落ち着いて下さい』
それぞれにそう言われ
引き剥がされるように
渋々、自分の席に座る二人。
しかし、お互い睨みあったままだった。
軍議が始まった。
光秀が『顕如の元には、一向宗と
今川の残党が今も続々と集まり
かなりの数が集まっています。
我らがぶつかり合い、戦力を
削がれている今の隙をついて
総攻撃をかけようと目論んでいます。』
信玄『顕如の居場所は
分かっているのか』
政宗『それは、調査済みです。』
信長『そう言う事だ、このまま我らの
戦に水を差されては、興醒めじゃ。
それで、我らの楽しみは、一旦
置いて、先に煩いハエを片付け
ようと思うての。それに、謙信
貴様とあろうものが
まんまと顕如の手の上で
踊らされ、桜奈を拐かした
とあっては、死んでも死に切れまい』
と不敵な笑みを浮かべる。
『ふっ、この借りはこの手で返すまでよ』
ゾクっとする冷気を放つ。
『借りをかえし、織田軍を殲滅して
その後、堂々と桜奈を
貰い受けるつもりよ』と謙信。
『させるわけないだろ!』と
また殺気立つ家康。