第14章 〜運命の赤い糸〜
夕餉のを皆に配り終えると
栞は、さっそく家康に
手招きして、呼び出した。
『なに?何かよう?』と
怪訝な顔をする家康。
『あら、ご挨拶な物言いね。
せっかく、桜奈さんに関する
貴重な情報を提供しようと
思った私にその態度とは』と
ドヤ顔で言う。
『はっー』とため息をつき
『で、何?』
栞は、のりが悪いわねーと言いたげな
顔で『桜奈さんが自分の
容姿に無自覚どころか後ろ向きな
理由知ってる?』と聞いた。
『無自覚なのは、分かる。
でも、理由は知らない。』と言う家康。
『へー、そうなんだ』と流すような目で
家康を見てファンクラブ自称会員番号1号
の優越感に浸る栞。
ピクッと眉を動かし何だかよく
分からないが栞に桜奈に関し
負けているような気分に
イライラして不機嫌になる家康。
『で、何?俺、早く飯食いたいんだけど』
『あぁ、そうだね。桜奈さんも
待ってるしね』と優越感はすぐに消え
焦る栞。
『桜奈さんは、自分が
美人だなんて爪の先ほども思ってない。
これは、びっくりする程の無自覚。
それから、美しいって言われても
雪姫って名がつくらいだったでしょ?
だから、そう言われる度に雪みたいに
冷たい人って言われてる気分に
なるらしいのよ。人に向けられた
美しいと自分に向けられた美しいの
意味は違うって思ってるみたい。』
(へー、そう言う理由だったんだ)
『でね、可愛いって言われると
容姿じゃない部分を褒めて
もらってる気分になって、それは
嬉しいんだって。だがら家康!
桜奈さんを甘やかす時の言葉は
可愛いいが鉄則よ!
いっぱい、言ってあげてよ。
桜奈さんには、何が何でも
幸せでいてもらいたいから。
実際、家康といる時が一番幸せそうだしね。
桜奈さんのことは頼んだわよ!
話はそれだけ、じゃあね!』そう言って
栞は、信長の天幕へと戻って行った。
(栞にとっても桜奈は
かけがえのない存在って事か。
あの眼鏡にも親友って紹介した
みたいだしな・・栞が男でなくて
よかったよ、今ですら取り合い
してるし・・・)
桜奈の心を開いたのは間違いなく栞。
家康もそれは悔しいほど分かっていた。
(栞、帰るんだよな。桜奈が
寂しがるだろうな・・)そう思った。