第14章 〜運命の赤い糸〜
『えっ?までって、他にも
誰かに同じこと言われたの?』
栞は、揶揄い半分でそう言った
だけだったが、桜奈から
予想しない反応が返ってきて
少し驚いた。
『いえ、先日、家康様に
助け出された帰りの道中で
家康様にも、口説かれてただろう
って言われましたの。そんなこと
あるはずがないのに、家康様も
栞さんみたいに可笑しなこと
仰ってたなと思いまして。』
(あぁー、家康がそう言ったなら
これは、惚れられたのは確定だわ
それで、桜奈さんに
承諾を取りにきたのか。にしても
もしかして桜奈さんて・・・)
『桜奈さん美人だもの
男の人がほっとかないなら
家康も大変だよねー』とわざとらしく
言ってみた。
『美人?私がですか?まさか
栞さん、おだてても何も差し上げ
られませんよ』とまたクスクスと
笑う。
(あっ・・やっぱり無自覚だった。)
栞も自分の事に関しての
鈍感さは、たいがいだが
桜奈ほどではない。
『桜奈さんは
美人だとか、美しいとか
いっぱい言われない?』
『まぁ、美しいと仰る方は
いますけど、それは私が無表情で
雪のように冷たい印象だから
皆さん、そう仰っているのでしょ?
私に向けられる美しいと
栞さんに向けられる美しいは
きっと意味が違いますもの。
だがら美しいと言われても雪のように
冷たい人と言われてるようで
正直、嬉しくはございません。』
(ダメだ、容姿に関しての
無自覚と言うか、いや、なんなら
後ろ向きな感じが半端ない。)
『じゃ、可愛いいって言われたら
嬉しい?』
『ああ、それならば、容姿ではなくて
さり気ない仕草とか、ちょっとした
話し方とかを褒められる気がして
嬉しいですね』ニコッ。
(///だから、それが可愛いの///)
(よし!家康にいい情報提供が
できる。共に桜奈ファンクラブ
会員のよしみで教えてやろう!
最後になるかもしれない貴重な情報よ
家康、有り難く思いなさいよ!)
と、にんまりした。
いつのまにか栞は、桜奈の
ファンクラブを心の中で結成して
いたらしく、もちろん自分が
会員番号1番。そこは譲れない。