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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第13章 〜君とでなければ〜


しかし、桜奈の自分の容姿への
無自覚さには、訳があった。
幼い頃から、鏡に映るのは
人形のような、血の気の通わぬ
無表情な自分ばかり。
自分が美人だなどと一度も思った
事がなかった。
桜奈にすれば、美しいと
言われることは、雪のように冷たいと
言われているのと同義語だった。

だからこそ、そんな自分を口説く男が
いるなど想像すらしたことがなかった。
そんな桜奈に、信玄や謙信の
行動を理解できるはずもなかったのだ。

『家康様?どうされたのですか?』
家康が何に不機嫌になったのか
分からない桜奈。

少し考え(もしかして、
私が口説かれたと勘違いされて
焼きもを焼いて下さったとか?)
と想像し、ちょっと嬉しくなった。
桜奈は、誤解だと説明するように

『雪姫と呼ばたくらい雪のように冷たくて
可愛げがないと思われていた私ですよ。
そんな私を、好いて下さる物好きな方は
許嫁のよしみで家康様くらいですのに。

私が口説かれてたと勘違いなさるなんて
可笑しな家康様』と今度は
クスクスと笑う桜奈。

桜奈の自分の魅力に対する無自覚さは
筋金入りと悟った家康は更に唖然とした。
(無自覚過ぎて、口説かれてた
ことすら分かってないよ・・)
と思うと桜奈の心の中には
政宗が言っていたように自分以外の
誰もいないし、誰も入れない。
自分しか見えていないのだという
満足感で満たされた。

そして、溢れてくる愛おしさを
抑えきれず、またぎゅっと抱きしめ

『ほんと、桜奈を好きになる
物好きは、俺だけだから
これからも俺だけを見てて
俺も、桜奈だけを見てるから』

桜奈にとって
幼い頃からの許嫁である家康は
特別な存在だった。この世で好きになる人は
家康以外考えられないほどに。

その特別な存在の腕の中に今、こうして
抱かれている自分が嬉しくて幸せで
仕方なかった。さっきまでの不安は
薄れ、安堵と幸せに自然に顔はほころび
嬉しそうに満面の笑みを家康に向けると

『はい』と答えた。

(///もう、ほんと、なんでこんなに
可愛いのさ!///)と思う家康。

お互いの無事を確かめ合うように
優しく口付けを交わした。


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