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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第13章 〜君とでなければ〜


牢の近くまで行くと
牢の中が少しだけ覗ける
空気穴があった。
家康は、身を屈め這う様にして
中を覗いた。

(桜奈だ!無事だ!怪我もなさそうだ)
一先ずホッとする家康。

良くは見えないが
桜奈に男が話かけている
事は分かった。
(牢番か?)

『謙信殿、またいらしたのですか?
何度も、申し上げていますが
私は、謙信殿にお仕えする気も
ましてやお側に上がることなど
死んでも、あり得ませんから!』

『貴様の命は、我が手中にある
俺がどう扱おうと、俺の好きに
できる。』

『心が決して向くことのない
人形を側に置いたところで
謙信殿が癒されることなど
ないと思いますが。
それに、その様な真似など
されれば、私は、私の命の始末を
自分でつける覚悟だと申して
おります。』

『ふん、では試してみるか?』
そう言って、柵越しに桜奈の
手を掴んだ。

『離して下さい!私に触らないで!!』
必死に手を解こうとする桜奈。

『俺は、もうこの手を離す気など
ないがな。』そう不敵な笑みを
浮かべる謙信。

すると
『おい!その手をすぐ離せ!
俺の許嫁に、気安く触れるな!!』
怒りに満ちた顔で、家康が
柄を握り、立っていた。

『何故、お前がここに!』
一瞬怯んだ謙信から、手を振りほどき
後ずさる桜奈。

『家康様!』
『桜奈、今ここから出すから
一旦、下がってて』そう言われ、桜奈は更に
牢の奥へと後ずさる。

『丁度よい、お前の目の前で三河の
小僧を倒せば、文句無しに俺が
手に入れられる』

『桜奈は返してもらうよ』

『ほざけ!』

と両者が同時に切り掛かる。
シャキーン!!
斬撃を刀で受け止め合う。
(くっ、重い)
その後も、両者譲らずの斬撃で
火花が散る。またシャキーン
シャキーンと刀のぶつかり合う
音だけが牢に響いた。
桜奈は、生きた心地がしない
まま、息をするのも忘れ
ただただ、家康の身を案じていた。

次の謙信の一撃を受けた瞬間
家康の右腕からの出血が
羽織に滲んだ。

後ろにほんの少し揺れ
体制を崩した家康に
『ふっ、手負いだったとわな』と
容赦なく謙信の斬撃が飛ぶ。

『家康様ーーーー!!』
普段の桜奈からは
想像もつかない程の大きく
悲痛な叫び声が、上がった。
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