第13章 〜君とでなければ〜
『これ、栞が持ってたものと
同じ仕組みだね。一応、あんたが
未来から来た人ってのは、信じるよ』
そう言って、佐助にボールペンを
投げ返した。
『桜奈のとこまで案内して
くれるんでしょ、さっさと案内して。
それに、あんたも未来に帰るなら
時間ないはずだよね?
栞は、もう戦さ場に到着してるよ』
『そうでしたか、時間が取れず
栞さんを戦さ場まで連れて
こられず、焦っていたところでした。
戦さ場に来たと言う事は
帰る決心をしたのですね。
それなら良かった』佐助は安堵
したように言った。
『おい?佐助どう言う事だよ?
未来から来たってなんだよ?
お前もあいつも、何分けの分かんないこと
言ってんだよ。ちゃんと説明しろよ。』
と幸村。
『幸、この前、時期が来たら話すって
俺が言ったこと覚えてる?
その話だ。向かいながら話すから
とりあえず今は、急ごう!』
と向かった。
佐助は、春日山城に向かう間に
自分がこの時代にきた全ての
経緯を幸村に話し、今後ワームホールが
開くことも、未来に帰るつもりで
いる事も話た。
佐助の話に、栞の話と矛盾が
ないことを確認しなが
聞いていた家康も
佐助が未来人だと確信した。
幸村は、ただただ信じられないと
言う顔で話を聞いていた。
春日山城近くまでくると
そこからは、身を隠すように
近づき、牢のある場所近くまで
案内された。
『ここからは、家康公に
お任せします。我々は
手出し出来ませんので』
『分かった。ここまで
案内してくれた事には、不本意だが
礼を言う。だが、桜奈を攫った
謙信は、許さないからね』
『本来、謙信様は、こんな卑怯な
手法を使う方ではございません。
きっと何か理由があったのかも
知れないです。』
『俺も、軍神とまで呼ばれる謙信が
こんなまどろっこしい事を
するとは、思わなかったけどね。
もしかしたら、あんたの主は
顕如にいいように使われたのかもよ。
桜奈が信長様の愛妾だと
思われて、一度攫われかけてるし。
全く、迷惑な話だ。
同じ情報なら出どころも
目的も同じだと思うけど』
と言って、家康は牢へと向かった。