第12章 〜それぞれの覚悟〜
『おっと、話がそれちゃったね。
話を戻すと、そのワームホールが
開く場所が、東で起きる戦さ場の
可能性があるんだ。
でも、女性が戦さ場になんて来るのは
危険すぎるから、どうやって君を
その場所に連れて行こうかと思ってたとこ。
まだ、確定ではないけど、ほぼ
間違いないと思う。』
『ええ!そうなの、じゃ、もしその
場所に行けなかったら帰れないって事だよね』
『そうなるね』
『そっか・・・』
『でも、君を、現代に帰す事を最大の
目的にしてきたからなんとしてでも
ワームホールの場所まで連れて行く
つもりではいた。
ただ、君に迷いがあって、もしこの時代に
残る事を選ぶなら、僕も残るつもり。
この時代を僕なりに楽しんで過ごして
きたから、この先もそうやって
過ごしていけるしね。』
『そっか。佐助君、凄いよね。天井裏から
出てきた時は忍者かと思ったもん。』
『まぁ、そんなとこかな。
僕も仕事でこれからしばらく安土を離れなきゃ
ならなくて、今日の夜辺りでも会いに行こうと
思ってたから、会えて丁度よかったよ。』
『ほんと今日は、奇遇だったよね。
あと、もう一つだけ聞いていい?
もし、ワームホールに、物が吸い込まれ
ても、物だけ、現代に届いたりする
ものなのかな?』栞は、1番聞きたかった
質問をやっとした。
『たぶん、理論上では届くはずだよ。
でも、なんで?』
『いや、ちょっと興味があっただけ。
気にしないで。
今日は、ゆっくり話せて
ほんと良かったよ。』
『また、様子みて、ワームホールが
開く前に、栞さんがどうするか
確認しに会いにいくよ。』
『分かった。それまでには
ちゃんと決めておくね。
ありがとうね佐助君』と
にっこり微笑んだ。
佐助も分かりづらいが
微かに笑みを、浮かべた。
そして、『おまたせー』と
桜奈と幸のところに戻った。
『じゃ、佐助くん、幸さんまたね!』と
言って別れ桜奈と栞は、安土城へと
帰って行った。
幸は、佐助に
『あの栞ってやつと、お前は
どういう関係なんだ?』と聞かれた。
佐助は、眼鏡を中指でクイっとあげると
『時期が来たら話よ。たぶんそんなには
待たせないで話ができると思うから
それまでは待ってくれ。』と言うと
幸は、『分かった、あんま待たせんなよ』
と言って二人も城下を後にした。