第11章 〜決意〜
栞は、桜奈のその言葉に
救われた気した。
(そうだ、まだ私は、自分のことを
自分では決めていない。今なら自分が
どうしたいかはっきり分かる)
栞は、涙を拭うと、何かが吹っ切れた
ように桜奈を真っ直ぐ見つめ
強い意思の眼差しを向けた。
『桜奈さん、分かったよ。
ギリギリまで、悩んでもがいて
私は、私の事を決める。
桜奈さん、ありがとう。
大事なことな気づかせてもらった
気がする。本当にありがとう』
と泣き腫らした顔で微笑んだ。
『良かった、いつもの栞さんが
帰ってきてくれました』そう言って
桜奈も微笑んだ。
(気持ちが、前を向かれましたね。良かった。)
さて、どん底の栞に桜奈を独り占め
され、分かってはいても不機嫌な家康。
仕事の合間に桜奈に会おうと
思っても、桜奈は栞に掛り切り
でちっとも会えない。
不機嫌です!と顔に看板を掲げて
座っている家康に、光秀は
『お前のその顔』とクククと笑う。
更に不機嫌が増し、眉をひそめる。
『ほっといて、下さいよ』
『ったく、少しは栞の心配をしてやれよ』
と秀吉。
『無理ですよ、秀吉さん。
今は、家康の最大の恋敵に桜奈を
独り占めされてるんですから』と
ニヤニヤする政宗。
『えっ、桜奈様と栞様は
恋仲なのですか!それは驚きです!』
と目を丸くする三成。
『そんな、わけないだろ!!』と
三成の言葉で不機嫌マックスの家康。
すると、広間に信長が入ってきて上座に
座ると、武将達は、一礼し、会議が始まった。
もうすぐ、戦が始まろうとしていたのだ。