第2章 〜突然の別れ〜
父の部屋の襖の前で
『父上、今よろしいでしょうか』と
伺いを立てた桜奈。
膨大な書類に目を通しながら
『桜奈か?如何した』と
声がした。
そっと襖を開け、父の元に行き
竹千代様から恋文を頂いたのだが
意味が難しいので、意味を教えて欲しいと
文を見せたのだった。
文に目を通した、 父は
『ほほ〜、これはなかなか
情熱的な歌だな』と言いながら
文を見ていた。
しかし、何時もは桜奈に
分かるような優しい文なのに、歌?何故?
違和感を覚えた父は、他にも文は
あるのかと桜奈に尋ねた。
『いいえ、他にはございません』
といったが、あっ、そういえばと言う表情で
『あと、文と一緒にこれに包んだ
綺麗な紅葉の葉を頂きました』と
嬉しそうに手渡した。
ほう、紅葉の葉か。
確かに燃えるような赤だなと眺め
ふと、紅葉を包んであった紙に目を落とす。
(んっ!)と何かに気づいた父。
そして、この歌は、桜奈のことが
大好きだって言っている歌だと
説明すると、桜奈は顔を赤らめ
両手を頬にあて恥ずかしいそうに
身をよじった。
父は口早に、こんな素敵な恋文を
もらった事を母上にも教えてあげる
といい、と桜奈を部屋から送りだした。
『はーい』と満面の笑みを
浮かべ、文と紅葉の葉を胸に抱え
桜奈は、早足に母の元へと向かっていった。