第10章 〜ありふれた日々〜
先に城に入った桜奈と千草を
栞が待っていた。
『お帰りー、ゆ・・じゃなかった桜奈さん
待ってたよー、寂しかったよー』と
桜奈に抱きついた。
『ただ今、栞さん。これ栞さんに
お仕立て頂いた着物ですよ。
家康様に似合ってるって言って
もらえました。栞さん本当に
ありがとうございました。』
『うん、うん凄い似合ってる。
やっぱり、その柄で正解だったよ。
あっ、新しい簪?可愛い
着物にも合ってるね!』
『家康様から贈って頂いたものです』
と、気恥ずかしそうに照れる桜奈
『もう、本当、二人はラブラブだよねー』
『らぶらぶ?』
『あっ、ごめん、またお国訛りが
出ちゃった。とっても仲が良いよね
って意味ね。』
『はぁ、栞さんのお国では
聞いたことのない、お言葉が
結構あるんですね。』
『まっ、まあね、ど田舎だからね
ははは・・・』(まずい、桜奈さんと
いると、つい現代の友達感覚になってしまう
気をつけないと。)
『ところで栞さん』といって
桜奈が栞の耳元に近づき
『その後、信長様とはらぶらぶで
お過ごしですか?』と小声で耳打ちし
揶揄うように笑った。
『/// う、うん、一応。ラブラブよ ///』
と、顔を赤くして恥ずかしそうに
答えたが、その後、分かるか分からないか
の感じで一瞬だけ顔が曇った。
桜奈は、『本当ですか!良かった〜』
と、嬉しさと安堵が、込み上げたが
その曇った一瞬の表情も気にはなった。
後から追いついた、家康は、
栞から引き離すように
『桜奈、信長様に挨拶に行くよ』
と、桜奈の手を引いた。
『じゃ、栞さんまた後で
お茶をご一緒しましょうね』と
引っ張られるように連れていかれた。
『もう、今、会ったばっかりなのに
家康のケチー!』と言うと
家康は振り返り、勝ち誇った顔した。
『もー、何よあれ!』プンプンする栞。
それを見ていた政宗はやれやれとばかりに
『家康の最大の恋敵は栞だな』と
栞の頭をポンポンと撫でた。
『だってー』と不満げな栞。
『後で桜奈とお茶すんだろ
上手い菓子でも一緒に作りに行くか?』
『うん!作る、作る!やったー』と
直ぐに機嫌はなおった。
それから二人で菓子を作りに
台所に向かった。