第10章 〜ありふれた日々〜
びっくりしたのは、今度は家康の方
(///もう無理、もう限界、信長様に
殴られる方がまし///)と
『そんなことして、どうなっても
知らないよ』と
桜奈を抱きしめ抱きしめたまま
布団に押し倒した。
『きゃっ』という小さな悲鳴と
ともに、覆い被さった家康と目が
合うと、一瞬、目を見開いたが
すぐに恥ずかしそうに
真っ赤な顔を横に向け、視線を逸らした。
それを追いかけるように、家康は
甘く深い口付けをすると、『あっ・・』と
桜奈から吐息が漏れた。それから
首筋へ唇を這わせたが、理性との葛藤は
僅かに続いていて、首筋に顔を
埋め(くっ〜)と少し迷っていると
『スーッ』と寝息が聞こえてきた。
(へっ?この状況で、まさか寝たの!?)と
起き上がり、信じられないと頭を抱えたが
よくよく考えれば、自分の看病の為に
ろくに寝ない日が続いていたことを
思い出し、桜奈のおでこに軽く
口付けすると、桜奈を
抱きしめながら眠りについた。
翌朝、チュンチュンと雀の鳴き声と
襖越しに入る朝日の眩しさから
微睡みの中、逃げるように
寝返りを打つと、何かに触れた。
桜奈は重たい瞼は閉じまたまま
その触れたものを確かめるように
ペタペタと触ってみた。
(何かしら?壁?でも何故?)と半分寝たままの
思考力で考えるが、すぐに睡魔に
引き戻されウトウトしてしまう。
すると
『はっー、朝から何でこんなに
可愛いわけ』と、ぎゅーと抱きしめられ
その声にパッと目が覚めた桜奈の
目の前には着物が少しはだけた、家康の胸板。
状況が飲みこめず頭が真っ白な桜奈は
恐る恐る上目遣いで上に視線をあげると
優しい瞳でクスッと笑う家康の顔。
慌てて、視線を戻したものの
(///カッ〜///)と顔が火照り耳まで真っ赤に
になり、心臓は早鐘のように鳴った。
(えっ?何故、こんなことになってるの私?)
と頭でぐるぐる考えるが、囲碁で
負けたあたりには、もう眠くて眠くて
半分寝ていたようで、よく覚えてない。
冷静に考える為にも、一旦、家康様から
離れなければと、『い、家康様、おはよう
ございます。あの起きたいので
ちょっと腕をはずして頂けませんか?』
とジタバタするが
『だーめ』とさらにぎゅーっと
抱きしめられる。