第2章 〜突然の別れ〜
そのしわ寄せは、当然の如く
民に向かう。
度重なる増税と重税が
民の生活を追い込んでいた。
このままでは、暮らして行けぬと
田畑を捨て、逃げる民も少なくは
なかったのだ。
これに、激怒した義元は
民の流出を徹底的に
厳しく取り締まっていった。
桜奈の父の心中は穏やかでなかった。
(このままでは、民の不満は限界にくる。
そうなればまた、無駄に血が流れることに
なる)そう思うと、いたたまれない
気持ちになった。
そして、その動向を既に把握して
いた信長もまた同じ思いでいた。
一時的に和睦し、小康状態を
維持していた、織田と今川。
交渉にあたった桜奈の父の顔を立て
信長は、静観してきた。
(・・・しかし、もうそろそろ限界じゃな。
鷹山よ、無理はするでないぞ・・・
貴様は、わしを支えてこそ
存分に力を発揮できる奴なのだから・・)
信長には、桜奈の父がどう
動くか、手に取るように分かって
いたのだった。
そして、鉄扇を手にパシッとあて
閉じると家臣に光秀を呼べと命じた。
信長の命を受け、更に詳しい
動向を探ることになった光秀は
『はっ』と短く返事をし足早に
内偵に向かったのであった。
一方で、何度もこのままでは
危ういと義元に進言する桜奈の父。
しかし、何度も繰り返し
進言されていくうちに、義元は指図
されているような気持ちになり
鷹山が疎ましくなっていった。
そして、とうとう、ある日
『殿!このままでは、民の反乱が
起きかねません。どうか、どうか
この鷹山の話をお聞き届け下さい』
と、懇願する桜奈の父に
義元は、
『煩い!!黙れ!!
貴様、何様のつもりじゃ!
誰に向かってものを申しておる!!
お前の面など、二度と見せるでない!!』
と、激昂し、怒りを顕にした。
義元と桜奈の父との
信頼が崩れかけていた、丁度その頃。