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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第9章 〜記憶の欠片〜


雪姫と栞は、安土城で
事の成り行きを見守ることに
なった。

時間だけが、虚しく過ぎて行く。
不安に押し潰されそうな
悲痛な表情の雪姫。
栞は、雪姫の握り締めた
拳をそっと手を乗せ包みこんで
『大丈夫、心配いらないよ
信じて待とう。』と優しく
微笑む。

雪姫も『そうですね』と
言ったが、表情は硬いままだった。

(どうか、どうか、ご無事で)
ずっと続く胸騒ぎがどんどん
広がるのをぐっと堪えながら
そう願っていた。

そして、家康の家臣が三成に
抱えられながら広間に報告にきた。
ただならぬ空気に、何かあったと
雪姫は、直感した。

『ご報告申し上げます。
家康様が賊に捕まりました。』

『何!詳しく話せ』一気に表情が
険しくなる信長。

『はっ、賊のアジトに踏み込んだ
ところ、十数人と見込んでいた
敵の数が五十はくだらず、三成殿の
後方を呼ぶ間も無く、次々と
味方がやられ、家康様は報告に行けと
私を庇い、捕まってしまいました。
申し訳ございませぬ〜』と家康の
家臣は、伏して詫びた。

『光秀、秀吉、政宗すぐ行け!』
『はっ!』三人は、急いで向かった。

家臣は、私もお供させて下さい
まだ戦えますと懇願したが

『馬鹿者!貴様が行っても足手纏いだ!
家康が救った命無駄にするでない!
貴様は、一刻も早く傷を癒せ
それが貴様に今できることだ!』

『申し訳ございませぬ』家臣は
苦悶に表情を、歪め涙をながした。

『三成、こやつの手当てを急げ』
『はっ!』三成は、家臣を支え広間を出た。

栞は、雪姫の様子がおかしいのに
気づいた。
『雪姫さん、大丈夫?』と
顔を覗きこんだ。

顔面蒼白で強張っていて
目の焦点があっていない。
身体は小刻みに震え
上手く息ができないのか
自分の胸を掴みながら肩で
『ハッ、ハッ』と短く荒い呼吸を
繰り返す。額からは冷や汗が流れていた。

『信長様!!雪姫さんの様子がおかしい!!』
『なに!』

『千草を呼べ!』家臣に命じた。

雪姫は、(家康様の身が・・・いや
いやだ、考えたくない・・
私を一人にしないで・・いや)
駆けつけた千草に抱きしめられ
『雪姫様、お気を確かに!』
と言われ、一瞬、千草をみて
『千・・草・・』と言うと涙を零し
そのまま気を失った。
『雪姫様!』『雪姫!』『雪姫さん!』
三人が同時に叫んだ。


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