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【最遊記】金色の向日葵

第11章 ★ とある夜の、エトセトラ


他の2部屋より少し早くに部屋の扉を閉めた三蔵。法衣を脱いで椅子の背凭れにひょいっと掛け、ベッドにドサリと寝転がった。

「ハァ…」

大きなため息を1つ吐くと、手のひらを天井に向けて伸ばした。


どうしてあの時に引き留めた…?

雅を、あいつを危険な事から遠ざけるいい機会だったはず…

其れなのに…


「ッチ」

自身でも言い知れぬ想いに心のどこかで『何か』が渦巻き始めている事に気付き始めていた。

『もう少し大人に…』
『素直になったらどうです?』
『ぜって―いやだ!!』

    三蔵・・・―――

色々な言葉と同時に雅の三蔵を呼ぶ声とあの顔がふと思い出される。

「……雅…」

そうぽつりと呟いた。グッと手のひらを握りしめ、シャワーを浴びるべく浴室へと向かった。
サ―――っと心地よい勢いと生温かさに三蔵はフルルっと洗いたての髪を振り、水気を飛ばす。

「…ッッふぅ…」

小さなため息と一緒に壁に手を突いた時だ。瞼の裏に懐かしくも大きな姿と声が聞こえてくる。

『…―――流……紅流…?何を迷ってるんですか?』

「……お師匠……様ッッ」

ぽつりと呟いた後に三蔵は両手を見つめた。

「これ程までに血に濡れた俺を…お前はどう取る…?」

気付き始めているのか…それとも……気付いていたとしても、この感情を自身の中で受けいれられないだけなのか…

「……ッッ」

冷たく固い浴室の壁をダンッと思い切り握った拳で叩きつける。

「……もう誰も…失っちゃぁいけねぇんだよ…」

そう言い放った三蔵の胸はトクトクと、優しく温かな鼓動を刻んでいた。
浴室から上がり、体を拭いて用意されている服に身を包む。ゆったりとしたものだった。着慣れないせいか少し違和感すら感じていた三蔵だったがそれでも難なく着こなしていた。
ベッドに座り、凭れながらも雑誌を片手にメガネをかけて読んでいた。

どれほどの時間が経っただろうか…横になり眠りに就こうかとしていた時だった。

コンコン……

気のせいだろうか…扉をノックする音が聞こえてきた。

「誰だ、一体…」

そう思いながらも一旦は無視をした三蔵だったが、2度目なった時にはため息交じりにその主の元に向かうのだった…



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