第11章 ★ とある夜の、エトセトラ
雅が部屋に入った時には悟空はすでにボスッとベッドに倒れ込んでいた。
「悟空?先にお風呂入ってきたら?」
「ん―――、でもなぁ…何か疲れたぁ…」
「お風呂入ってあったまったらよく寝れるだろうし…」
「そっかぁ?じゃぁ…入ってくる…」
そういって重たくなった体を起こして悟空はゆらゆらと浴室へと向かっていった。しかし、何も持たずに行ってしまった悟空。シャワーの音がした直後に雅は部屋着を持って浴室に近づいた。
「悟空?」
「………」
シャワーの音で聞こえないのか…そう思って雅はその場に置いて部屋に戻っていた。
服を着替えて部屋でくつろいでいた。ベッドに座り、ネックレスに触れるとどうしても顔がほころんでしまう。
「……三蔵…」
小さく名前を呟いていた。少しして悟空も出てきて雅に声をかけた。
「雅-?風呂!空いたよ?」
「あ、ありがとう!」
そう答えると雅も浴室へと向かっていった。湯を張っている間に歯を磨く。磨き終わった時に少し少なめだったが浴槽に湯は張られた。そうして浴室に入って行く。ちゃぷんと浴槽に身を委ねるとお湯に反射してキラキラと石も光っていた。
「きれい…」
そう呟きながらもゆったりと入っていた。浴室から出た後も、雅は格闘が始まる。長い髪を乾かすのにドライヤー必須なのだ。そんな雅を見て悟空はととっと近寄ってきた。
「雅!!こっち来いよ!!」
「ちょっと待って?」
「…もぉう!!」
そう唸ったと思うと悟空は雅の手からドライヤーを奪い取りコンセントを抜いた。そのまま雅の手を引いて歩き出すと椅子に座らせた。
「ここ座って?」
「…?」
「俺、乾かすから」
「…でも…ッッ」
「いいから、ほら!雅は今日一生懸命踊ったんだから!!」
そういってニカッと笑った悟空のその顔に逆らえず、雅はゆっくりと椅子に座り悟空に任せる事にした。