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【最遊記】金色の向日葵

第10章 踊り子の誕生


――――・・三蔵side・・―――

悟空と悟浄が雅の衣装や様子を見に行ってくるとその場を離れて直に帰ってきた。

「ただいま!!」
「おや、案外早かったですね!どうでした?」
「あのさ?雅、超きれいだった!!」

そう口火を切ったのは悟浄かと思っていたが、意外にも悟空だった。

「衣装がすげぇ、ひらひらして…足とか背中とか…」

衣装の話で盛り上がっているものの納得がいかない…

(足だ、背中だって……)

聞えた単語を並べてみる。あの悟浄は口ごもり、いつもならそこまでとはいかない悟空があれほどまでに熱弁している。

「三蔵も見に行くだろ?!」
「俺は行かない」

何故かそう答えた。確かに興味がないと言ったら嘘になる。女に、ではなく、雅が舞う事に……

「どうしてだよ!一緒に行こうよ!!」

そう悟空が何度も誘う。
行きたくない訳じゃぁない。それでも……

「知り合いがわらわら行ったら思う様に踊れなくなるだろ。」

そういって俺は雅のせいにした。いつもこいつらには『てめぇがどうしたいかだ』なんていってるくせに…

肝心な所で俺は雅が緊張するとか勝手に人のせいにしてやがる…それに加えてどうでもいい宿代の事まで引き合いに出してる……

自分自身に呆れていると『そっかぁ、』と残念そうに明らかなしょげをみせる悟空。バラバラと散りじりに部屋を出て行った。

「ハァ…たく…」

新聞を片手に読みながらも悟空の言った言葉が頭の中をこだまする。

『すっげーきれいで、色っぽくてさ!』
『超きれいだった!!』

その言葉に苛立ちを覚えた三蔵は煙草に火をつけた。ふぅーっと煙を噴き上げていると扉をノックする音がする。

「タク、今度は誰だ…」

そう呟きながらも扉を開けるとそこには雅が居た。

「なんだ」
「今、少しいい?」

そう下から見上げた雅が俺に問うてくる。『少しだけなら』と俺は雅を部屋に招き入れた。

「なんだ?」
「あのね?」

そう言いながらもすこし躊躇いがちに雅は言葉を引き出した。

「今日の踊り、三蔵も見に来てくれる?」

そう問いかけた雅の目は真っ直ぐに俺にむかっていた。
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