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【最遊記】金色の向日葵

第10章 踊り子の誕生


「安心しろ、俺がいかなくても悟空や悟浄、八戒は見に行くと言ってたから。」
「……三蔵…にも見て貰いたかった…」
「は?」
「ごめん、なんでもない…じゃぁいい」

そういって三蔵の部屋を飛び出した。その直後、悟空とぶつかりそうになった。

「ぅわ!……あれ…?雅?どうした?」
「……ごめん、なんでもない」
「ちょっと待てよ!ここ…三蔵の部屋だろ?」
「……ッッ」

そのまま俯いて悟空の前に立ちつくしてしまった。去るタイミングを逃してしまったのだ。

「何で?どうして泣いてんだよ…三蔵にいじめられた?」
「ちがう…ごめんね?本当に何でもないから…」

そう言うと泣きそうな瞼を擦りあげてにこっと笑って見せた。その時だ。八戒が居合わせてしまったのだ。

「おや、雅?……って、悟空?何泣かせてるんですか?」
「違うんだよ…!!雅が三蔵の部屋から出てきた時にもう泣いてたから…俺じゃなくて…三蔵だろ?」
「……雅?」
「なんでもない。私が欲張っちゃっただけ…」

そう言うとぺこっと頭を下げて雅はその場から離れて行った。追おうとしたその時だ。

「うるせぇんだよ…」
「三蔵!!!」
「ギャーギャー騒ぐな、サル」
「だって…雅が『三蔵?雅に何言ったんですか?』……そうだ!!」

悟空の言葉に被せるように八戒は三蔵に問いかけた。

「別に?今夜の踊りを見に来てほしいって言われたから断っただけだ」
「……イイじゃんかよ!見に行く位」
「三蔵?さっき話した理由が事実ではないですよね?」
「……何が言いたい、八戒。」
「もう少し素直になったらどうです?」
「うるせぇよ。てめぇこそ、それほど舞に興味があったとは知らなかったな」
「僕が興味あるのは雅の踊る舞ですよ?」
「……だったら勝手に見に行ったらいいだろ。」
「……三蔵?自分の取った行動に責任、持ってください?」
「どういう事だ」
「ここの宿に泊まれる条件、雅が踊り子として待ってくれるからでしょう?」

『そーだそーだ!!』と囃し立てる悟空を放っておいたまま2人は話を続ける。
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