第5章 トラブル

「あーー、居るよね…あぁ言う空気読めないやつ。」
「あ……」

ふと顔を上げた悟空と雅は同時に声が出た。

「あいつ-…まだあんな事やってんのか？！」
「あれ、お２人さん、あの大男とお知り合い？」
「知り合いっていうか…さっき悟空が打ちのめしたはずの人…」
「は？何勝手にケンカ売ってんの、サル」
「サルっていうな！あいつが悪いんだよ！！」

その声が聞こえたのだろう。大男たちはこちらを見てにやりと笑うとザッと立ち上がりそのまま３人の元に近付いてきた。

「こいつぁ、いい憂さ晴らしが出来そうだ…」
「さっきはどうも、お・ち・び・ちゃ・ん！！」
「何かやっぱりこいつ、すげーむかつくんだけど…」
「なぁ悟空、自分の喧嘩の後始末位ちゃんとしろよな？」
「……何くっちゃべってんだ！！さっきの借り、返させて貰おうかぁ！！」

そういいブンっと振りかぶった腕に雅はキュッと目を閉じた。その時、店のマスターだろうか。声を立てた。

「やめなさい！！」
「……ｯｯ」

そのひと言で大男の拳は悟空の顔ギリギリで止まった。

「私の店で喧嘩させる訳にはいかないんでね。やるなら外行ってくれ！」
「どうする悟空…」
「そうだなぁ。また俺腹減っちゃうしなぁ…」

そういう２人を見ながらもなかなか落ち着けない雅。しかし悟浄の飲みっぷりを見ていたマスターは大男諸共１つ大きな提案をした。

「けがして良い事何か１つも無い。だとしたら、明日開催される大酒大会に出てそこできれいに決着付けたらどうだい。」
「大酒大会？」
「ﾌﾝ、どっちにしてもお前らの負けは確定って事か。」

そう、大男は前回のチャンピオンだった。他に適うものなどおらず断トツの優勝だったのだ。

「それって誰でも参加出来んの？」
「えぇ。明日、受付時間に店に来てくれたら参加エントリーできる。どうする？」
「どっちにしてもてめぇは参加できねぇぁ。おちびちゃんは！！ﾋｬﾋｬ」
「チビチビうるせぇんだってば！悟浄！！明日三蔵や八戒もつれて来ようぜ！！なんかあいつすげぇ嫌な奴だ！！」
「でもお前が参加できないのに俺たちに飲ませる気？」
「ただで飲めるんだし！」
「そうじゃねぇって。まぁ……いいか…」
「食い物でる？」
「大食い大会でしたら時間が少しずれて行いますけど」

そう聞いた悟空は嬉しそうに立ち上がる。