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【最遊記】金色の向日葵

第17章 意地悪な唇


ひそひそと声を潜ませながらも後部座席の3人は話し出した。

「なぁな、三蔵と雅って恋人なんだろ?」
「なのに銃口向けるとは…三蔵サマって意外とドS?」
「意外とっていうかぜってーSだな…」
「でも…優しいとこあるよ?」
「あ――、それ雅仕様な…俺らには優しさのかけらなんて……」
「あんの?三蔵!!」
「俺に聞くな…」
「でも、僕らの事を信じてくれてるのは優しさではないですか?」
「誰も信じてなんかいねぇよ」
「これは問題発言ですね」
「俺は俺の後を許せる奴しか一緒には行動してねぇよ」
「それって…」
「案に信じてくれてるって事だよ?」
「そんな事は言ってねぇよ」

そう言いながらも少し照れたように三蔵は遠くの空を見つめた。

「なんか三蔵が憂いでる…」
「お、猿からなんかすごい言葉が出てきたぞ?」
「俺だって知ってるよ!!」
「其れはすごいすごい!!」
「むっかぁ――!!」
「ハハハ、三蔵もなかなかゆっくりと出来ないですねぇ…」
「…今始まったもんじゃねぇだろうが」
「確かに…でも…」

そう言いかけた八戒は後ろの3人には聞こえない程の声で三蔵に話し出した。

「昨夜みたいに野宿の時にはせめて、雅を抱く事はやめてあげてくださいね?」
「……何の事だ」
「気付いて無いとでも思ったんですか?知らないふりをするの、案外大変なんですよ?」
「起きてたのか…」
「えぇ、少なくとも僕は案外早い段階から聞こえてしまいました」
「……チッ」

ふいっと顔を横に向ける三蔵。まだ少しぼぉっとしている雅をバックミラーで見ながらもすこしだけ口元は緩んでいった。

「ほらほら、みなさん?いい加減にしないとまた三蔵からハリセンが飛び出しますよ?」
「わ――!!こわーい――!!」

わざとらしく悟空と悟浄はおどけてみせた。そうしていると悟空はフッと雅の顔を覗き込む。

「雅?どうしたぁ?」
「え?」
「調子悪い?」
「そんな事ないよ?」
「三蔵に殴られたからか?」
「そんな事…無いよ?」
「おっ!!その間、なんか怪しい?」
「大丈夫だって!!」
「そう?ならいいんだけど…」

そういってストンっと自身の席に座りなおしていた。
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