第8章 シルバークロウの弟子
しばらくして掘っていた手を戻ってきたクレインに取られる。
「待ってろと言ったはずだ。血が出ているぞ」
クレインにそう言われ、リオは自身の手を見る。
爪が割れ、指の先は切れて血がにじんでいる。
「……ここに師匠を…ナズナの花のそば…」
ぽつりぽつりと聞こえたリオの言葉にクレインは手を離す。
リオの前に先ほど取ってきた太い木の枝を置き、自分は別の木の枝でリオが掘っていた穴を掘り始める。
リオもそれを見て、木の枝を取り一緒に掘り進めていく。
獣に掘り返される事が無い深さまで穴を掘るとクレインはシルバーの亡骸から服以外の装飾品を外し、身体を穴の中に入れる。
その時、リオは外された装飾品から小型ナイフを手に取り鞘から刃を出す。
そして自分の長い銀髪を後ろ手で一纏めにするとナイフで切った。
腰まであった長い髪は肩につくかどうかの長さになる。
「師匠、私シルバークロウになります…師匠に拾われて今まで過ごした時間、一生忘れません…貴方は私の命の恩人です…だから…」
リオは涙を流しながら、切った髪の毛を穴の中に入れる。
「私が…!私が貴方の全てを背負います…!!」
泣きながらそう言うリオをクレインは黙って見ていた。