第8章 シルバークロウの弟子
2人が向かった先には人だかりができていた。
リオは迷いなくその人だかりの中に飛び込んでいき、クレインもそれを追い人混みを縫うように進んでいく。
そして人だかりの先頭に着く前にクレインは目の前で何が起こっているかわかり、手の届く近さまで追いついたリオの腕を掴み、後ろから抱きしめる体勢で捕まえる。
しかし、リオの目にも今起きている光景が入った。
今日、自分の師が客として会っていた海賊と目の前に肩を撃たれて血を流すシルバー。
「し…!」
リオが師匠と叫ぶ前にクレインが口をふさぐ。
「待て、今叫べばお前の命も危うい…!」
オルニスは情報屋の中でも特別。
その中でも世界一と謳われるシルバークロウである彼女を殺める事が。
彼女の情報が無くなることが世界にどれほどの損失を与えるか…
(シルバー…大丈夫なのか…)
クレインは腕の中で暴れるリオを抑えるので手一杯。
今、手を離せば彼女は自分の師匠の元に行ってしまう。
自分がシルバーを助けに行きたいが悪魔の実の能力が無い身体で2人を抱えての戦闘も逃走もほぼ不可能。
シルバーとリオ、双方を失えばシルバークロウという存在も含めて確実に死ぬ。
『もし私に何かあれば…リオの面倒見てくれよ』
過去にシルバーに言われた言葉。
クレインは目の前にいるシルバーより弟子であるリオを止める事を選んだ。