第8章 シルバークロウの弟子
14年前。偉大なる航路のとある島。
クレインは情報を売る為、町の中を歩いていた。
四皇専門のクレインの情報は今後新世界に向かう海賊達にとって重要な物が多く、そのため買い手も多かった。
この日も数組の海賊に情報を売り、また別の客を探して歩いていた。
その時
「そこのお兄さん」
背後から声をかけられ振り返るとそこにはタンクトップにジーンズを身に着け、ウェーブかかった銀髪ショートの女性が立っていた。
「……お前かシルバー」
その女性は情報屋オルニスのトップ、シルバークロウと呼ばれる人物だった。
「久しぶりだな。元気だったか?」
「まぁな……それはなんだ」
クレインの視線の先
シルバークロウの背後、足に隠れるように自分を見つめる銀髪で赤目の小さな少女。
「ん?あぁ拾った」
「捨て猫のように言うな、親はどうした」
「私の弟子にした」
「はぁ…」
時折常識が通じない目の前の人物にクレインはため息をつく。
「リオ、こいつもオルニスだ。挨拶しな」
「う…リオです…」
笑顔のシルバークロウとは対照的に少し怯えている様子のリオ。
「クレインだ、手を出せリオ」
クレインはしゃがんでリオに目線を合わせる。
リオがおずおずと両手を差し出すとクレインはポケットに手を突っ込み何かを握るとリオの手にそれを落とす。
それは色とりどりの飴玉でそれを見たリオは目を輝かせる。
「先ほどもらった。お前にやる」
「あ、ありがとう!」
リオが嬉しそうにシルバーにもらったぁと報告する。
シルバーはそんなリオの頭を撫でてやる。
「ありがとなクレイン」
「気にするな」
それがクレインとリオの出会いだった。