第6章 心が見せたもの
その夜。
「本当にごめんなさい!!」
リオは船内に戻ってきたシャチに頭を下げていた。
「助けてくれたのに酷い事言って…」
「いや、海に落ちて混乱してたんだし…気にしてねぇよ」
だから頭上げてくれと慌てた様子でシャチは言う。
「シャチに触られたくなかったんだよ、シャチだし」
「シャチが移るもんなぁ」
「おいこらお前ら!てかペンギン!俺が移るってなんだよ!」
シャチを弄るペンギンを始めとするクルー。
それを見てリオが思わず笑ってしまう。
「リオまで笑うなよ~…」
「ご、ごめん。でも助けてくれて本当にありがとう。今日はお礼にシャチの好きな物作ってあげる」
「よっしゃ!じゃあ…」
楽しそうに笑う2人を離れたところでローが見ていた。
(とりあえずあそこは問題ないな)
あの後、リオに海に落ちた理由を聞いても手を滑らせたとしか答えない。
しつこく聞いても答えてもらえず、何回も聞いていたら
『次聞いたら晩御飯パンにするよ!』
と怒られたのであきらめたロー。
真相は気になるが、梅干しサンドを出されるのは非常に困る。
とりあえず楽しそうに笑っているなら問題ないと思い、船長室に戻っていった。