第6章 心が見せたもの
シャワーで身体をきれいにしたリオ。
浴室から脱衣室に来て身体の水分を拭いたのだが、触れた状態でそのまま連れられてきたので着替えの服が無い。
「どうしよう…」
とりあえずバスタオルを身体に巻き、脱衣室のドアに向か
う。
コンコン
「……終わったか?」
ドアの向こうからローの声が聞こえホッとする。
「着替えが無いんだけど…」
「あぁ…少し待ってろ」
ローはそう言うと自身が着ていたパーカーを脱ぎ、脱衣室のドアを少し開けてパーカーだけ差し出す。
「部屋までこれを着ろ、無いよりはマシだろ」
「ありがと…」
リオがパーカーを受け取るとドアは再び閉められる。
受け取ったパーカーに袖を通すとローとの体格差のおかげかパーカーはリオの膝上の丈の長さになった。
(これなら大丈夫か…)
リオは先ほどまで着ていた服をバケツに突っ込み、脱衣室に備え付けのメモに“砂まみれ、洗濯予定”と書いて貼って端っこに置いておく。
そして濡れた髪の毛を拭いてから脱衣室を出る。
「終わったようだな。
……部屋に戻ってとっとと着替えてこい」
「あ、うん…」
パタパタと走って船長室に向かうリオをローは見送り、姿が見えなくなると脱衣室のドアに再び凭れる。
(あれは…結構くるな…)
長身である自分の服を小柄である彼女が着ればワンピースのようになるだろうと想像はしていたが、実際に見るとなると何とも言えない気持ちになる。
(それより…なぜ海に落ちた…)
リオは悪魔の実の能力者。
甲板で保存食作りをしていても彼女の性格や身体能力を考えてもドジやって落ちるとは考えにくい。
何か落ちるきっかけがあったはず。
(後で聞いてみるか)
ローはそう考え、自身も着替えを取りに行く為船長室に向かった。