第6章 心が見せたもの
「俺が外にいるからその顔と砂なんとかしてこい」
ローはそれだけ言うと脱衣室を出ていった。
リオはその場に座り込み、投げ渡されたタオルを見る。
「なによ…なんなのよ…!」
タオルに床に投げつけようとするが、自身から落ちてきた砂粒を見て冷静になる。
「……先にお風呂入ろう」
リオは海水で濡れた服を全て脱いで浴室に入る。
他の者が入る時間ではないので浴槽にお湯は張っていない。
リオは浴室に備え付けられているシャワールームに入ると蛇口をひねる。
上から熱いお湯が出てきて、海水や砂がお湯と共に流れていく。
(あの師匠は…師匠じゃない…あれは私の心の弱さが見せたもの…)
冷静になった頭で先ほど見たものについて考える。
「……情報は全ての要。全てを頭に入れろ、それを紡げ…私は世界一の情報屋…シルバークロウなんだ…」
自分に言い聞かせるように何度も何度もリオはその言葉を呟いた。