第6章 心が見せたもの
「触らないで!!」
パンッと自分に伸びてきたシャチの手を払う。
しかしすぐに驚いた様子でリオは自分の手を見る。
「リオ…?」
「ご、ごめん…ごめんなさい…」
リオはシャチに謝罪するとそのままうつむいてしまった。
砂浜でそんなやり取りをしていると外の騒ぎに気付いたローが甲板に出てくる。
「おい、なんの騒ぎ…」
そこでローの目に入ったのは砂浜で俯くリオとそれを心配そうに見ているシャチと周りで慌てているクルー達。
ローは能力で瞬時に砂浜に降り立つ。
「どうした」
「さっきリオが海に落ちて…助けたんスけど…」
「海に落ちた、だと?」
ローは俯くリオを見ると全身が濡れており、その状態で砂浜に来たため砂も大量についている。
「……リオ」
ローはリオの前に膝つき、顎を持って上を向かせる。
その顔は海水で濡れ砂もついていたのだが、目からは涙がこぼれていた。
それを見たローはリオを抱き上げ、能力で船内に戻る。
「ちょっ、ロー!降ろして!!」
ローは暴れるリオを無視してあるドアの前に立ち、器用にドアを開ける。
中に入るとそこは脱衣室でリオは更に暴れる。
「何する気なの!?ねぇ!」
「……落ち着け」
ローはリオを下ろすと脱衣室に備え付けの棚からタオルを取り出すとリオに投げ渡す。