第5章 梟の名を持つオルニス
リオが完全に眠りの世界に入った頃。
ローは目を開け、自分の腕の中で眠るリオを見る。
『7年前、シルバークロウは一度死んだ』
あの時、アウルは最初にそう言った。
『死んだのは先代のシルバーだ。情報屋は仕事上恨みを買いやすいから殺される事は珍しくねぇ…だがオルニスは別だ。俺達はどんな情報を売っても“オルニス”っていうデカい名前で守られる。だけど、どっかの世間知らずの海賊が世界一の情報屋である先代を殺っちまったのさ。可愛がってた弟子とクレインの目の前でな。』
『世界一の情報屋シルバークロウを死なせないって全てを背負った弟子が今のシルバークロウだ。』
これがアウルから買った情報。
彼女の全てを知る事は出来なかったがわかったのは3つ。
目の前で慕っていた人を殺された
師匠を継いでシルバークロウになった
そして、クレインというオルニスは全てを知っている。
という事だけ。
アウルからドフラミンゴの情報を買わないと決めたのは、リオを始めて船長室で寝かせた翌日の朝だ。
リオの乗船を期間限定にするにはもったいない。
以前、情報料は1000万ベリーと言っていたのでそれだけ高額の金額であれば、しばらくは船に乗せるのは可能だろう。
しかし関われば関わるほど彼女の事が気になる。
先日のラークとスパローからの連絡の一件。
情報の売買を持ちかけても過去を語らないリオ。
どうにか方法はないかと考えたローはまずはアウルから情報を買うことにしたのだ。
そして知ったのが先ほどの内容だ。
これ以上を知るのであれば…
「クレインって奴を探す必要があるのか…」
リオと共に先代のシルバークロウの最期を見届けた人物。
アウルからクレインの情報を買おうとしたが、新世界を拠点にしており現在の居場所は不明との事。
「お前は何を背負っている…」
そう問いかけても熟睡しきっているリオから返事は帰ってこない。
ローはリオをさらに抱き寄せると目を閉じた。