第3章 お支払いという名の航海
ローはふと閉じられた本の表紙を見る。
それは船長室にあったローが持つ医学書の一つだ。
「お前医学の勉強してんのか?」
「勉強というか…この世界、情報は要であって自分を守る盾にもなるから読んでるだけ」
「自分を守る盾か…」
ローがポツリと呟いた瞬間、外から大きな砲撃音が響く。
「っ…!」
「敵か?」
ローは外からの砲撃音に愛刀を肩に担ぐと甲板に向かう。
甲板から見えるのは…
「ちっ、海軍…」
「キャプテン!どうします?!」
「距離を取ったら潜水だ、時間稼ぎは「私がするわ」
ローを含めたクルーが声をした方を見ると着ていたパーカーのフードを被り、サングラスをかけたリオが甲板に歩いてくる。
「この海域は海軍が多いの。トラファルガーは何か会った時の為に体力を温存した方がいい」
「……仕方ねぇ。無理はするなよ」
ローの言葉と同時に海軍の巡視船が砲弾を撃ち込んでくる。
それを見たリオは手をかざし、船の前に水の膜を張る。
「アクアスパッキオ(水鏡)」
撃ち込まれた砲弾は全て水の中に入ると中に入ったすべての砲弾が巡視船に向かって戻っていく。
砲弾が帰ってきたことで海軍巡視船は砲撃を浴び、軽いパニック状態になっている。
その状態でも砲撃を撃ち込まれ、その度にリオが砲弾を返していく。
「キャプテン!潜水準備完了しました!」
「じゃあ大きいのブチかますわよ」
リオは甲板に手を当てる。
「アクアピラストロ(水柱)」
リオの言葉と共に巡視船に何本もの水の柱が立ち、撃沈まではいかないが何箇所か水の力で損傷させた。
「中に戻るぞ」
「了解」
巡視船が追跡不能になったのを確認し、船内に入るとハートの海賊団の潜水艦は海中へと姿を消した。