第3章 お支払いという名の航海
『シルバークロウを“殺した”海賊を探していたらしい』
船長室に戻ったローはその事を思い出していた。
(声はこの前連絡を取っていたラークとかいうやつ…それよりリオの他にシルバークロウがいたのか)
最後に呟いていた彼女の言葉も引っかかる。
まるで、今は自分がシルバークロウと言い聞かせるかのように。
「……素性は売らねぇと言われているから…別から情報を買うか…」
リオがダメなら別のオルニスから買う。
現在、王下七武海専門オルニスであるアウルの元に向かっている。
(近々懸賞金が掛けられるオルニスか…それはそれで興味深い)
ニヤリと笑ったローは愛刀を肩に担ぐと船長室を出る。
ローが向かったのは食堂。
ここはリオが読書を読んだりするのに過ごしている事が多い為、リオに用事がある者は大体食堂に一度顔を出す。
ローが食堂に入ると案の定、長椅子に座って読書をするリオがいた。
「リオ」
ローが彼女の名前を呼ぶとリオは本から顔を上げる。
「トラファルガー…何か用?」
「オルニス、ラークとかいうやつの事についての情報を言え」
「ラーク?まぁ大丈夫だけど…」
ローはその言葉を聞き、刀をテーブルに立てかけるとリオの向かいの席に座る。
「ラークは海軍専門だったな、なぜ海軍の情報を持っている」
「……現役の海兵だからよ。海兵なのに情報屋としても活動している不思議な人…でも海軍の情報は同業者にしか売らないから海軍もラークの存在には気づいていないの」
「なるほどな…」
先ほど聞いてしまった内容の中でまず1つ疑問に思っていたことが解決したロー。
「ねぇ、普通に私から色々情報聞いてるけど金銭発生してるの忘れてないよね?」
リオは情報屋だ。
本来であれば依然同様、追加情報には料金が発生するのだが…
「あぁ、支払い中なのも覚えてる。だがオルニスの情報はすでに買ってるから文句ないだろ」
「そりゃあそうだけど…」
ため息をつくリオは持っていた本を閉じると椅子から立ち上がり、キッチンに向かう。