第3章 お支払いという名の航海
「んー!いい天気!」
朝食の片付けが終わったリオは甲板で陽の光を浴びながら身体を伸ばす。
リオの銀髪に陽の光が当たり、きらきらと輝いていた。
(お昼寝でもしようか…あ、トラファルガーに本借りて読書もいいなぁ)
そんな事を考えていたその時
『ぷるぷるぷる…』
懐にしまっていた子電伝虫が着信を知らせる。
リオは子電伝虫を取り出し、応答ボタンを押す。
『ガチャ。……俺だ』
「ラーク?」
電話の主は先日連絡を取ったオルニスの一人、ラーク。
「どうしたの?」
『……まだ公にはなってないが、スパローがどっかの海賊を潰した。近々懸賞金を掛けられる』
「貴方が言うなら間違いないわね。なんでその情報を私に?」
『どこまでが本当かは知らんが、スパローはシルバークロウを“殺した”海賊を探していたらしい』
リオはその言葉に眉をひそめる。
シルバークロウを“殺した”海賊…。
「……情報提供感謝するわ」
『気にするな、あとこの情報の報酬はいらん。身辺に気をつけろ』
「了解」
リオはそれだけ言うと子電伝虫を切り、懐にしまう。
「……シルバークロウを“殺した”海賊、か」
自分の脳裏に浮かぶのは大好きだった師匠の顔とその顔が血に染まった姿。
目の前の出来事を見る事しかできなかった非力な自分。
「シルバークロウは…私よ…くそが…」
リオの小さな呟きは、海に向かって消えていく。
船内に続くドアの物陰にいた人物以外にその呟きが届くことは無かった。