第21章 一時の平和な時間
左手で番号を押し、通話ボタンを押すと呼び出し音が鳴る。
『ガチャ…シルバー!?アンタ怪我したって聞いたけど大丈夫なの?!』
「……し、心配おかけしました…命に別条は無いから大丈夫だよ。絶対安静だけど」
『それって重傷ってことよね?たまたま近くの島にいるの!今からお見舞いに行くから!!』
「えっ!?いやちょっ…!」
『トラ男!アンタ海底にいるなら浮上しておいてね!じゃあ!…ガチャ』
嵐のように終わった通話にリオは固まり、ローはため息をつく。
「……浮上の指示をしてくる」
「う、うん…ごめんね?」
「いや…たまにはイッカク以外の同性に会うのもいいだろ」
ローは椅子から立ち上がると浮上指示の為、オペ室を出ていった。
「これのどこが大丈夫なの?」
満面の笑顔を見せるナミにリオは冷や汗を流す。
あの後、ポーラタング号が浮上してしばらく経った頃にサウザンドサニー号が現れ、ナミ達はペンギン達の有無を言わさずローにリオがいるオペ室に案内させて冒頭の言葉に戻る。
「右腕全体に包帯にギプスまで…これかなりの怪我だよシルバーちゃん」
吊られている右腕を見ながらサンジがそう言い、リオは困ったように笑う。
「情報屋として退けない勝負があってね…怪我はひどいけど勝ったよ」
「はぁ…アンタ女の子なんだからもう少し傷とかに気を遣いなさいよ…いくらトラ男がいると言えど…」
「……ん。以後気を付けます」
ちなみにオペ室に来たのはナミとサンジのみで他のメンバーは船に残っていたり、ローと絡んだりしている。