第19章 相見える2人のオルニス
クレインとの戦闘訓練の際に編み出した血液を用いる技。
自分から流れた血液も武器に出来ないか考えた時に偶然できるようになった技で最後の訓練はこれを様々な形態に変化させる事が出来るように訓練を行った。
しかしこの技は自分の血液を使用するのでリスクが多く、身体への負担も非常に大きい。
下手すると出血多量で命を落とす。
訓練中に何度も倒れ、酷い時には輸血を受けていたためこの技の使用はクレインからは本当に必要と感じた時以外禁じられていた。
「ブラッドアーマー…」
右腕は赤黒い鎧に覆われ、左手はボクシンググローブのような形の鎧を纏わせる。
「なら次はその右腕を噛み千切るだけだ!」
再びスパローがスピードをあげてリオに向かっていき、ブラッドアーマーで覆われた右腕に噛みつく。
しかし、右腕は噛み千切るどころか鋭い牙すら入らない。
「血液は鉄分…つまり強度の調節次第で鉄のように固くなる…!」
リオはそう言うと左手でスパローの頬を殴る。
「ぐっ…!!」
スパローが殴られた衝撃で右腕から口を離した瞬間、リオは左手の拳だけ能力を解除し、事前に左手で握っていたボトルの蓋を片手で開ける。
「ポイス…!!」
中に入っていた海水を操り、スパローの首に海水で作った水の輪をつける。
「っ…!力、が…!」
海水の影響でスパローの力は抜け、リオから離れると獣の姿から人間の姿に戻っていく。
「はっ…はぁ…」
リオはスパローが離れるのを確認するとその場に座り込む。
「くそ…!てめぇなんかに俺が…!!」
「……あの時一緒にいたのが私とクレインじゃなくて貴方だったら…師匠は助かっていたのかな…」
リオはそう言うとスパローに折りたたまれた一枚の紙を見せる。