第19章 相見える2人のオルニス
リオがそう言うと手のひらに小さな水の玉を浮かべる。
そして反対の手に持っていた金属ナトリウムを瞬時に入れ、スパローの前に投げ自身の前に水鏡を張った。
水に反応した金属ナトリウムは爆発し、周りに爆煙が舞いスパローの姿が見えなくなる。
「どこ…」
リオは見聞色の覇気でスパローの位置を探ろうとした瞬間
「甘ぇぞ」
リオの右肩に3本の爪の傷が出来、そこから血が飛び散る。
「いっ…!!ちっ…!」
リオはスパローから離れ、距離を取ると血が流れる肩をおさえる。
「お前の覇気はまだ不完全のようだなぁ…」
手についたリオの血を舐めながらスパローはそう言う。
「っ…一発入れただけでしょ?」
リオはそう言うと肩から手を離し、ある構えをする。
「魚人空手…」
「はっ!人間のお前がそんな使えるわけ…」
「唐草瓦正拳!!」
正拳と共に衝撃波が生まれ、それに当たったスパローは吹っ飛ぶ。
修業時代にクレインが呼んだ魚人から教わった魚人空手。
革命軍に人間の身で使える者があると聞いた事はあるが、それでも少人数。
水の能力を持っているリオであれば習得が可能だと踏んだクレインは修業開始の1年後から魚人空手の修業を急ピッチで進めたのだ。
「ぐ…ぅ…!」
「私はミズミズの実の水人間…水の制圧なんて造作もないわ」
平然を装って話すが、魚人空手の衝撃が右肩の傷にも大きく伝わり鋭い痛みがリオを襲う。
「はっ…面白れぇ…」
スパローは四つん這いの体勢になると半獣の姿から完全な獣の姿になる。
「本来ハイエナはメスの方が強ぇ。だがこの実は男女関係なくフルパワーを使える…知ってるか?ハイエナのスピードは」
スパローが後ろ脚で地面を蹴ると瞬く間にリオの前に駆けてくる。
「時速65kmだ」
「っ…アクア…!」
「遅ぇ!!」
リオが水鏡を出す前にスパローはリオの右腕に噛みつく。
歯か顎に武装色の覇気を纏っているのか右腕から骨を砕くような音がした。