第18章 銀色のカラスを待つ紅き雀
「……クレインから聞いてるよ。私と師匠の過去や師匠の最期をシャボンディ諸島で買ってる事…ローならわかるでしょ…」
リオはそう言うとローが持つ紙を指差す。
「そこは師匠を殺した海賊が支配する島よ…」
「なるほどな…で、何が不安なんだ」
「私、冷静にいられる自信が無いの」
目の前で自分の師を殺され、クレインから関わるなと言われてきた海賊。
いくら自分の立場も責任も理解できる歳になってもその海賊を目の前にしたら師匠の仇を取ろうと動いてしまう。
「情報屋である前にお前は師匠を想う1人の人間だ、仇を取りたいって思うのは普通だと思う。俺もコラさんの本懐を遂げる為だけに生きていた」
ローはポンッと自分の手をリオの頭に乗せる。
「お前は1人じゃねぇ。俺達がいる、心配なら俺達を頼れ」
「ん。わかった…あ、あとこれも不明確なんだけど…その島をスパローっていうオルニスが拠点にしているかもしれないの」
「スパローって言えば紅い鳥で懸賞金がかかっている奴か」
ローの言葉にリオはコクンと頷く。
「もしスパローが島にいるのであれば…戦闘は避けられない。彼は私を認めていないからね…その時は私一人で戦わせて、私が師匠の代わりにやらなきゃいけないから…」
「……わかった。だが俺が危険と判断したら俺も戦う。そ
れが条件だ」
「あー…ん。アイアイキャプテン」
リオが返事すると同時に後ろから声をかけられ、リオが振り返る。
「悩み解決したか?リオ」
「シャチ…ん。ありがと」
「じゃあ見張り交代だ。あとは俺に任せろ」
シャチはそう言うと甲板の先へ歩いて行った。
「戻るぞ」
「はーい」
リオはローから貰っていた掛布をシャチに渡し、ローと共に船内へと戻っていった。