第16章 恋慕と葛藤
「ま、待って!」
リオがローの胸板を押し、その様子に不満そうな顔をするロー
「……おい」
「あ、いや…そ、その…実は、キスだけは初めてで…」
顔を赤くするリオに心臓を掴まれたような感覚になるローだがある言葉に顔をしかめる。
「キス“だけ”…はどういう事だ?」
「あ…えっと…実は…」
私がまだクレインの元を巣立って活動してすぐの頃。
欲しい情報があってとある情報屋の元に向かったのだが、その情報屋が欲しがったのは金ではなく私の身体。
所詮は一晩を共にしろというもの。
まだ16歳だった私は悩んだ。
一応そう言う事は未経験だったし、やはり女心としては好きな人が最初でいたい。
でも、情報はほしい。
とにかく情報が欲しかった私は“キス”だけはしない約束で身体を差し出した。
その情報屋は律儀な男でキスだけはしなかったのでキス“だけ”は未経験なのだ。