第16章 恋慕と葛藤
その日の夜。
朝食の仕込みの為、リオは長椅子に座ってジャガイモの皮むきをしていた。
「リオ、まだ仕込みしてたのか」
リオが食堂の入口を見るとローがマグカップを持って入ってきていた。
「うん。コーヒーおかわり?」
「あぁ」
「ちょい待って」
リオはローからマグカップを受け取るとキッチンへと入っていく。
ローはリオが剥いていたジャガイモの山を見る。
「一人で終わりのか」
「まぁ頑張れば…」
「じゃあ手伝う。コーヒーはその後淹れろ」
ローはそう言うと置かれていたナイフでジャガイモの皮を剥き始めた。
「え…皮剥けたんだ…」
「人並みに料理は出来る。やらないだけだ」
「へぇ…」
リオはコーヒーを淹れようとした手を止めて違うナイフを手に持ち、ローの隣に座ってジャガイモの皮を剥き始める。
「明日の飯はなんだ」
「ポテトポタージュに野菜たっぷりのスパニッシュオムレツ。あとジャガイモ余ればガレットかな。ローにはおかず一緒でジャガイモと玉ねぎの味噌汁に昆布のおにぎり」
「……ジャガイモこんなに使うのか?」
「みんな沢山食べるからね」
麦わら程ではないけどクルーのほとんどが男性で食べる量も多い。
取り合いにならないように作っても毎回全て完食している。
まぁおかずの取り合いになって食堂で喧嘩したらリオからアクアフィアートが飛んできて睨まれるのでこの食堂で喧嘩する者はいない。