第16章 恋慕と葛藤
「あ、ロー終わった…」
ゴチンッ!!
ローはリオの言葉の前に武装色硬化をした拳でリオに拳骨をする。
「いっっったぁぁぁ!!!!」
「お前は…少し加減しろ!!衝撃波でうちの船を沈める気か!!」
リオがやった武頼貫はかなりの衝撃波を生む技で敵の身体を貫く程の威力を持つ。
敵船ではなくポーラタンク号にも強い衝撃波を受け、沈みこそしていないがクルー達は沈没か海に投げ出されないか冷や冷やしていたのだ。
「す、すみません…」
甲板に正座し、拳骨された頭を撫でながらリオは素直に謝罪する。
「次からは加減して戦え」
「はい…」
リオの返事にローがよしと言うとリオは立ち上がる。
「それよりリオ魚人空手使えるんだな」
「そうそう!あれ人間で使えるの初めて見た!」
「水を扱えるから出来るんじゃないかと思ってね、修業中に魚人空手の達人に稽古つけてもらったの。さすがに魚人柔術は無理だけど…」
「それでもすげぇよ!」
リオは照れくさそうに笑い、新聞の続きを読もうとシャチから新聞を受け取る。
再び平和になった甲板に座って新聞を読み進めるとある一つの記事に目が入る。
“新世界で紅い鳥が海賊を潰す。懸賞金上がる可能性が高い”
「紅い鳥…」
これはスパローに付けられた異名。
自身が殺した者の血を浴びたオルニスだからそう付けられたと赤髪海賊団にいる時に情報を買った。
リオと違ってスパローは凶暴性や危険性から生死を問わないと手配書に書かれている。
赤髪海賊団にいる時は会う事は無かったが、いつかは出会うのだろうか。
「出会いたくはないなぁ…」
リオはそう呟き、別の記事を読み進めた。