第15章 ど~も~。調査員一号・櫻井でーす…。(S)
「金銭的なお手伝いはちょっと…いろいろ面倒だからできないんだけど…」
「私、ホントにそんなっ。あ、大野さんに失礼なこと…気を遣わせてしまって。そんなつもりで話した訳じゃなかったんです。すごく心配してくださって…ホントに申し訳ないこと…っ」
「あ、うん。気にしないで。彼はホント、何て言うか…優しいだけなんで。ちょっと考えナシだけど」
いや、俺もビックリしたよね、この話は。大野さん、ほんと極端っていうか。やること読めなすぎ。10年以上一緒にいるけど、やっぱよくわかんない人(笑)。
「早い話、俺ら全員遥ちゃんが気になってるんだよ。心配なんだよね」
「…」
遥ちゃんは何も言わず、力なく首を横に振った。
ホント、彼女のキラキラした笑顔の裏に、こんな重たい事情が隠されてたなんてな。女優顔負けだよ。…いや。やっぱ気遣いかな。心配かけたくないっていう。第一、親しい親戚の叔母さんにすら頼ってないんだもん。ホント強いよね…。
会ったことないけど、遥ちゃんのお父さん!娘さん、立派に育ってますよーっ!
「そもそも、その借金だけど…ホントにそんな金額?ちゃんと調べた?」
「え?いえ…。借用書にそう…」
「俺、これ力になれるかも。知り合いに弁護士いるんだよ。一回ちゃんと調べて貰った方がいいと思う」
「弁護士…」
「お父さんの手術のこともあるし、全額は無理でも、減らせるもんなら…ね」
彼女は狐につままれたような顔をしてた。
ほら、結局こういうのって、知ってる方が勝つんだよ。情報と法律。俺もその道の卵の役やらせて貰ったからさ。多少勉強したけど…ホント、賢くなんないとって思う。
この世の中、情報量の多い方が絶対有利だから。