第15章 ど~も~。調査員一号・櫻井でーす…。(S)
「ざっくりはメンバーからも聞いてるんだけど。…いい?俺も、話、聞かせてもらって」
「…はい」
本人からの言葉で、不透明だった部分がクリアになり、情報がうまっていく…。
・母親は早くに亡くなって父娘二人で生活
・父親の会社が倒産(知人の連帯保証人になっていて借金を被ったため)
・父親は借金返すためバリバリ働いていたが突然倒れて入院中
・手術費と借金返済のためお金が必要になり、手っ取り早く稼ぐため夜の世界へ
・父娘の様子見も兼ねて叔母である女将さん夫婦の店『山風』で時々手伝わされている(女将さんは夜のバイトのことは知らない)
・今は夜のバイトと昼間も数ヶ所で働いて稼いでいる
「めっちゃ激務じゃんっ!体大丈夫なの?」
「私が倒れたらどうしようもないから…。ちゃんと調整はしてます」
「…そっか」
「ずっと何にも知らなかったから…。父はただ私のことかわいがって甘やかして。たった二人の家族だから、今度は私が守りたいんです」
…うん。
やっぱ遥ちゃん、しっかりしてる。その、大野さんからの裏情報の、本番アリのアフターみたいなのは気がかりだけど…。でも彼女、何よりお父さん、大事に思ってる。わかってるから、きっとそこまで身体に負担になることはしてない。うん。俺はそう思う。そう感じた。
あー…よ~やくスッキリ。ようやくピース埋まったって感じ。全貌がわかれば、対処の方法も出てくるってもんだ。もうね、これが詐欺なら、引っかかっていいよ。俺ら全員。