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【ハリポタ親世代】恋は痛いけれど幸せかも

第1章 【シリウス夢】気付いたら好きで


静かなはずの図書館がにわかにざわめき始め、程なく大きくなってくる。何事だと顔を上げた俺はギョッとした。


「えぇっと……お、お待たせ…」


申し訳なさそうに……なんなら泣きそうな顔でやってきたの後ろに女が集まっていた。


「……あ、あぁ……いや…」


何の嫌がらせかと思ったが、彼女の本意でない事は顔を見ればわかったので俺も苦笑を浮かべる。

ベタベタとしてくる女達を引き離すものの、これではとてもレポートどころではない。には悪いが、また日を改めて貰うしかなさそうだ。

しかし、はこんな中でも自分なりに進めているらしい。
本当に真面目な奴。


「シリウス、教科書では粉を先に入れると書いてあるんだけど、さっき葉を先に入れたのは何で?」


ふと顔を上げたと目が合うと、そんな質問をしてきた。
えーと、俺、なんか順番間違えたか?
手順を振り返ろうと記憶を辿ろうとしたが、


「シリウスが間違ってるってさ!」

「誰にでも間違いや勘違いくらいあるわよね~」

「お勉強大好きな真面目ちゃんと一緒じゃ疲れちゃうわ」


女子達の茶化したような軽口が響く。
俺を庇ってるのか知らないが、彼女達は何か誤解している。


「おい、やめろ」


そう止めたところで、さっきの状況が思い出せない。
鍋に入れた順番……。

考えようにも、キャッキャと俺に謝罪をしてくる声で全然集中出来ない。
参ったな、と思っていると、向かいのが席を立った。


「ごめん…具合悪いから帰るね。適当にやっといてもらって良いから。本当にごめんね」

「あ、おいっ!」


言うだけ言って足早に立ち去るを追いかけようとするが周りの手に阻まれた。


「放っときなよ〜」

「そうそう、女の子は複雑なんだから」

「具合悪いって言ってたし、女の子の日かも?」

「それより、この間のさぁ」


彼女達が何を言っているのか理解は出来なかったが、ここにいるヤツらを全員蹴散らして追いかけるのは現実的では無い。

こいつらが来てしまったのも俺が原因だろうし、を追い掛けても鍋に入れたものの順番も思い出せていない。

俺の所為で嫌な思いをさせてしまったのだとしたら、今はそうっとしておく方が良いような気もする。

明日、改めて謝ればいい。
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