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【ハリポタ親世代】恋は痛いけれど幸せかも

第1章 【シリウス夢】気付いたら好きで


逃げられないことを察した私は、大きく息を吸い込み意を決して口を開く。


「シ、シリウスくん」

「シリウス」

「い、いや、でも」

「ダメだ、呼び捨てろ。なんか気持ち悪りぃんだよ」


精一杯の抵抗も聞き入れてもらえず、引き攣った笑いを浮かべながらどうしようか様子を窺った。

私の目には「シリウスが言ってるんだから早くしなさいよ」「言われた通りにするのよ」と言っているように見える。
……違ったら、どうしよう。分からないし怖いよ。

いや、そもそも本人がこう言っているのだから、これ以上断るのも難しい話だ。

ここは皆さん、状況を見て許して下さい。


「わ、わかった……シリウス…」

「あぁ。そうそう。お前、今日出されたレポートいつやるつもりだ?」


返答に満足したらしいシリウスは、さらなる爆弾を投下する。
そういえば、宿題が出されていた。パートナーとなった人と一緒に書いて提出する事と言われた気がする。

あれ? それって……


「ええー…っと、まだ考えてないけど……」

「じゃ、放課後空けとけよ。さっさと終わらせちまおうぜ」


それには賛成だ。
こんな針の筵、さっさと脱したい。

私は半ばヤケで了承の声を上げた。
シリウスが満足げに頷くと良いタイミングで遠くから彼を呼ぶジェームズ・ポッターの声が聞こえる。


「じゃあな、忘れんなよ!」


軽口と不意打ちの笑顔を残し、駆けていくシリウス。
今更だけど、外国の人々は格好いい人が多いのだなぁと思う。
ローブを翻した姿が漫画のヒーローの様だ。

驚いて一瞬、頬にが暑くなったのは気の所為ではない。
周りの騒めく音が体を冷ましてくれた。







ようやく開放されると思っていたのだけれど、そう簡単には終わらなかった。
そう、どうやら私は大きな間違いをおかしたらしい。

シリウスとの放課後の約束を聞いていた人々が集まり、さらにそれが噂を呼び、『ずるーい』だの、『もちろん連れて行ってくれるよね?』という女子が放課後までの間にわんさか集まってしまったのだった。

さながらハーメルンのバイオリン弾きである。

こんな大所帯、シリウスだけじゃなく周りにも迷惑でしかない事は分かっているのだけれど、だからと言ってどうしていいのか分からなかった。

逃げ場もないまま、重い足を引き摺るようにシリウスが待っている図書室へ向かう。
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