第1章 【シリウス夢】気付いたら好きで
「シリウスって、かっこいいよね!!」
聞き慣れた言葉。
それは、この4年間、女子の間で何度も聞いた言葉。
そして、そんなのわかっている。
誰もが認める整った顔。
どうやら特定の相手は居ないみたいだけど、遊ぶ相手は学年も寮も越えて引く手数多。
今まで、あまり興味を持ったことは無かったけれど、確かに格好良いのだろう。
というのも、私は日本人で目が慣れていなかったから周りの女の子達ほど過度なミーハーにはなれなかった。
だって、シリウスに限らず海外の子達って、女の子も男の子もお人形さんみたいで綺麗で可愛いし、先輩達はカッコよくてみんな素敵に見えるのだもの。彼だけが特別とは感じなかったのよ。
自分を引っ込み思案だと思ったことはないし、コミュニケーションに難があるとも思いたくはない。
でも、あまり周りへの関心は少し薄いのかもしれない。
ああやって女の子同士でカッコイイ男の子をネタにキャッキャするのはあまり好きでは無かった。
まぁ、付き合いもあるし、たまには混ざる事もあるけれど。
「ねぇ、は気になる人いないの??」
「え?」
こうしてたまに話題を振ってもらっても彼女達の望む答えはもちあわせていなかった。
「う、うーん、そうねぇ。特に恋愛とかも無いかなぁ。
私は本の中の疑似体験で十分。あと妄想?
私、結婚とかする気無いから」
答えながら
この歳で言う事か?
付き合うを通り越して結婚って。
と、冷静な自分がツッコミを入れ苦笑いしてしまう。
しかし、我ながら呆れてしまう答えにも彼女たちは食い付き、結婚しなくても付き合うくらいはすれば良いなどアドバイスを伝えてくれる。
それでも私の心には響いてこない。
とは言え、これは前向きな返答をしなければ話が終わりそうにない。
「そうだね…、まぁ、機会があれば」
口では答えたものの、やはり全くその気は起きていなかった。
恋も素敵かもしれないけど、無理にするものではきっと無い。
今は勉強しろと神様が言っているのだろう。
さーて、気持ちを切り替えて
今日も1日、お勉強頑張りますかね!