第1章 はじめましてからのきっかけ
主人公side
「いらっしゃいませーっ」
店内に響く元気な声に、くるくると忙しく動くも笑顔な一人の女性
ここの従業員である 日永祈 日永祈
「日永祈ちゃーん、ランチセット運んでくれるー?」
「はぁーーい!」
厨房から顔を覗かせた女性はここのカフェのオーナー
やや膨よかな体型だが、とても気さくで面倒見が良く、良くも悪くもおおらかな人だ
「すいません、珈琲のおかわりもらえますか?」
「あ、はい!今お持ちしますねっ」
ここのカフェはオーナーと日永祈、夜のアルバイトだけで営業しており、日中はほとんど日永祈がホール業務を任されている
「日永祈ちゃん、悪いんだけど生クリーム切らしちゃったからお使い行ってきてくれる?」
「はい、いつものですね?」
「悪いわねぇ〜」
いえいえと言いながら、エプロンを外しパーカーを羽織った
「お使い行って来まーす!」カランカラン
まさか、お使い帰りにこんな出会いがあるなんて
ー その時のあたしは思いもしなかった ー
〜*〜*〜*〜
一松side
とある路地裏に紫色のパーカーを着た男性が猫と戯れていた
一「…お前、毛並みいいな…」
にゃーーん
猫が嬉しそうに返事する
一「…また、明日煮干し持って来てやるから…」
よいしょと腰を上げて帰ろうとすると何やらガヤガヤと騒がしい
(…ま、俺にはカンケーないか…)
「はっ、離してください!痛い…っ!」
だがそこにいたのは、俺がこの路地裏に来る途中にあるカフェで働いている子といかにもチンピラな男だった
「ねぇねぇこのまま俺と遊ぼーよ♪にしても、キミ本当可愛いなねぇ♪」
「嫌ですっ!お願い、離してください…っ!」
何、アイツ…汚ねぇ手であの子に触りやがって
「いや…っ!!」
「大丈夫♪優しくしてあげ…ぐはぁ!?」ドサッ
「え…」
気がつくとチンピラに回し蹴り喰らわせていた
そいつは泡吹いて気絶してる
「あ…ありがと…ございま…す」
一「…べ、別に…邪魔だっただけだから…じゃ…」
くるりと背を向けて逃げようとしたらぎゅっとパーカーの裾を掴まれた
「…っ!////」
(ちょヤバイヤバイヤバイヤバイ!なんでそんなピンポイントで可愛いコトしてんの!無意識か!無意識なのか!!)