第8章 愛馬
「だが、もうきょうこを手放すつもりはないんだ。彼女には辛い選択をさせてしまうが……」
「信玄様……」
私は、部屋の襖を開けて声をかけた。
「目が覚めてしまったのかい?きょうこ」
今の話はなかったことのように、にこやかに頬笑む信玄様。
「私の辛い選択は、信玄様のいない世界にいる事です……もう、信玄様のいない所では……私……」
涙がポロポロ溢れる
「あぁ、解っている。俺もきょうこのいない世の中が、あんなに暗く苦しいものだとは思わなかったよ」
そう言って私の手を引き、信玄様の胸の中で強く抱きしめられる。
「信玄様……」
「俺達は、ずっと一緒だ」
そう言って、私の左手の薬指に嵌まったリングにキスを落とす。
「はい……」
その時、静かに部屋のドアの閉まる音がした。
「佐助……気を利かせてくれたようだな」
「……そう、みたいですね」
「おいで……」
身体を離すと、ゆっくり私の手を引く信玄様。
そして甘いキスをした後、
慣れた手付きで私の服を脱がし、
ブラのホックも、いとも簡単に外す。
「この湯を『武田信玄と愛する妻が浸かった湯』にして貰わないといけないな」
「ふふ……そうですね……」
その後、私達は
逆上せそうなほどの、甘い愛しい夜を
星空の下で、たっぷりと味わった。