第8章 愛馬
工場見学をした後、私達がやってきたのは……
「馬に乗れるのかい?」
「はい!!!」
久しぶりに触れる“馬”そして“自然”に信玄様の顔も綻ぶ。
「きょうこ、馬はどうだい?」
「あまり得意じゃなくて……」
「そうかーじゃあ一緒に乗れるような、大きな馬を……」
「いえっ!それより佐助君と少し遠くまで駆けてきて下さい」
ここは上級者なら、広い敷地内をどこでも駆けれるそうで……
ずっと狭い室内や、人混みの中にいた信玄様には、息抜きになるだろう、と佐助君が考えてくれていた。
「きょうこのいない場所を駆けても仕方がないだろう?」
甘い瞳が覗き込む。だけど……
「すいません、お客様のような体格の良い方がお二人で乗れるような馬が、今……」
スタッフから声がかかる。
「いないのかい?」
「いえ、いるにはいるのですが……少し気が荒くて……」
「ほぅ……ここにいる馬は皆、大人しいと感じていたところなんだ。是非、その馬に会ってみたいな」
なんて、にっこりと頬笑む信玄様。
気の荒い馬!?ど、どんな馬のなの!?
私がドキドキしていると、佐助君が
「大丈夫だ、行ってみよう」
「う、うん……」
「じゃあ、案内しますね」
スタッフの後を皆でついて行くと……