第7章 甲府
「この餅は宿に着いてから、食べるのか?」
「はい。ですが先に、あれを……」
佐助君が見つめた先には……
信玄餅を乗せたソフトクリームだ!!!
「わー!私、一度食べたかったの!!!」
「前に餅の乗っていないものは食べたんだが、あれもなかなかに旨かった」
「他にもたくさんありますよ」
どの商品にも、ほとんど『信玄』と名のつくものばかりで照れくさそうにしていた信玄様も、さすがになれてきたようだ。
「きょうこ、これはあまり日持ちはしないのかな?」
「そうですね……私達が帰る頃には、賞味期限が切れていますね……」
「そうかー……幸にも、食べさせてやりたかったんだが……ん?そう言えば……幸村餅や謙信梅はないのか?」
「幸村餅……」「謙信梅……」
思わず佐助君と顔を見合わせて笑う!
「探せば何かありそうですね!特に謙信様の物は!」
「幸村もあるかも知れないな!」
「まぁ、いい土産話が出来たな」
「そうですね、帰るのが楽しみになってきましたね!」
私が笑いながら信玄様に言うと、信玄様はなんだか少し淋しそうな顔をしながら……
私の頭をそっと撫でてくれた。